その方法は、膝関節部の骨、すなわち大腿骨(太もも)、脛骨(すね)および膝蓋骨(お皿)を各々数ミリ切って、そこを人工の関節で置き換えるというものですが、その際、正確に骨を切り、適切な位置に金属(人工関節)を設置することが良好な術後経過を得るための重要なポイントと言えます。
従来、膝の手術では大腿骨(太もも)に穴を開け、金属の棒を入れて方向を確認しています。脛骨(すね)では、長いガイドを外から当てて方向を確認しています。
今回、新しい方法として、患者様のMRI(またはCT)のデータから、個々の患者様の関節の骨のモデルを作成しひとりひとりの関節の形状に合った、特注の骨切ガイドを製造し、簡単に、短時間に器械を設置できるようにする方法が開発されました。
当院では正確な骨切りをするために、この新しい患者様に合わせて作成した特注のガイドを使用して人工膝関節を行うことができます。
オーダーメイドの人工関節はアメリカへMRIを送って特注でお作りします。5週間かけて患者様ひとりだけの最適な人工関節を制作致します。また術前データ採取のためにMRI撮影(またはCT撮影)を行います。MRI撮影においては、磁場ですので被爆の心配はありません。
通常の術式と同様に膝の前面の内側にカーブした約8~12cmの皮膚切開で進入し、筋肉、靭帯を処置しながら膝関節を骨まで展開した後、カスタムカッティングデバイスを骨に密着させて位置を決め、正確な骨切りを行います。骨切り後は、通常の術式と同様に手術を進めます。人工関節を設置して、十分止血、洗浄した後、創を縫合して終了です。手術時間は、術中所見にもよりますが、概ね45~90分ぐらいです。
従来、これらのミリ単位の手術手技は経験を必要とし、成功を左右するのは術者の経験によるところが大きい手術であります。当院の専門医は十分な技量を持ち合わせておりますが、患者様一人一人のオーダーメイド特注の手術器械を使うことにより、より確実に手術成功率を上げるまたは手術時間をより短縮し、最小侵襲手術を確立することにより合併症ならびにリスクを軽減することを目的としております。
この手術法の優れている点
- 骨表面にガイドを密着するだけで適切な位置へ骨切りガイドの固定ピンを誘導可能
- 最小限の手術器械で骨切り可能
- 最小限の手術器械だけで行える
- 最小侵襲手術が可能
- 手術時間の短縮が可能
オーダーメイド人工関節の詳細な動画を見る
手術までの過程動画がこちらです。このように正確に骨切りをし人工関節を取り付けます。